<在留資格【永住者】>日本に生活の基盤がある外国人ならば【永住者】の在留資格はどうしても欲しいものではないでしょうか?
「永住者」の在留資格をもつと日本での活動に制限がなくなり、在留期間にも制限がありません。
そのため永住許可申請の審査は、他の在留資格の変更よりも慎重に行っています。ちなみに標準処理期間は4ヵ月とされていますが、最近では、申請を出してから許可されるまで1年を超えるケースもあり、6〜8ヵ月ほどかかっています。
永住者の在留資格を取得するには、
「相当期間日本に在留した間の在留状況に問題がなく、将来にわたってその在留に問題がないことが想定される」ことが必要です。
では、何をもって
「問題がなく」と見るのかについてみていきましょう!
<永住の条件>以下の3つをクリアすることが必要になります。1. 素行が善良であること2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること3. 法務大臣が日本国の利益に合すると認めたこと◆なお、日本人の配偶者や子、永住者の配偶者や子、特別永住者の配偶者や子に関しては③の国益要件だけ満たせばOKです。
1. 素行善良要件「素行が善良であること」
次の
A・B・Cに該当する者は「素行がよろしくない者」として永住許可されません。
A 日本国の法令に違反して、懲役、禁錮または罰金刑に処せられたことがある者B 少年法による保護処分が継続中の者C 日常生活または社会生活において、違法行為または風紀を乱す行為を繰り返して行うなど素行善良と認められない特段な事情がある者つまり、
法律やルールを守って日常生活を送り、人に迷惑をかけずに生活をおくることが大切になります。では、AとCについてもう少し詳しくみていきましょう。
A 日本国の法令に違反して、懲役、禁錮または罰金刑に処せられたことがある者Aに該当する者は「素行がよろしくない」ということで永住許可されません。しかし、以下に該当する者は、Aに該当しない者として扱われます。
・禁錮以上の
刑の執行が終わり、
罰金以上の刑に処せられないで10年を経過した者
・禁錮以上の刑の執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで
10年を経過した者
・罰金以下の刑の
執行が終わり、
罰金以上の刑に処せられないで5年を経過した者
・執行猶予の言渡しを受けた場合で当該執行猶予の言渡しを取り消されることなく当該執行猶予の期間を経過し、その後さらに
5年を経過した者
※例えば・・・一般道を30km/hオーバーのスピード違反で捕まったとします。30km/hオーバーだと6点減点で一発免停です。これは赤切符なので罰金です。そうなると5年を経過しないと「素行がよろしくない」として永住申請をしても良い結果が出ないということです。
B 日常生活または社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返して行うなど素行善良と認められない特段な事情がある者とは・・・
軽微な法令違反を繰り返し行う者や地域社会に多大な迷惑を及ぼす行動を繰り返して行う者が該当します。
※例えば・・・◎軽微な交通違反を何度もおこす
◎資格外活動許可の制限である週28時間を超えて就労している場合
どのような前科前歴であっても、事実である以上は、正直に申告してください。隠しても無駄です。入国管理局は、永住審査において、必ず前科照会を行います。
よって、前科前歴がある場合は、深い反省を述べた上で、二度と法違反をしない旨を誓う書面を提出するよう心がけてください。
2. 独立生計要件独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
① 日常生活において公共の負担にならないこと② 職業または資産などをみて、将来において安定した生活が見込まれることつまり、生活保護者にならなくても、現在および将来において日本で仕事をし、国に頼らず自分で生活することができると認められることが必要です。
なお、独立生計要件は、必ずしも申請人本人が備わっている必要はなく、その者が、配偶者等と共に生活する
世帯単位で見た場合に安定した生活を今後も続けることができると認められるときは、これを備えているものとして扱われます。
【注意点】◆転職は要注意!!永住許可申請前後の転職は、基本的にマイナスポイントになります。日本は、転職=生活の不安定とみなしてしまいます。永住申請は、安定した収入を要件として求められています。「安定した収入」は、「安定した生活」を送っていると判断されます。よって、転職して間もない場合は、できる限り1年くらい経ってから申請した方が良いかもしれません。短期間で何回も転職している場合は、安定した収入がないのではないかと判断される可能性が高くなるので注意しましょう!ただし、キャリアアップやスキルアップにより収入が増える転職であれば、それほどネガティブになることはないようです。
ちなみに永住許可申請中に転職した場合は、必ず入国管理局にお知らせしましょう。時には就労資格証明が必要になるときもあります。
◆在留資格「経営管理」からの永住許可申請 この場合、経営する会社の安定性や継続性も審査されます。そして、経営する会社の業績が好ましくなないような場合は、独立生計要件に問題ありとされる可能性がありますので注意しましょう。
◆年収の問題永住権を取得するための最大の難関が年収の問題です。この年収の額が非常に重要な審査ポイントであり、多くの方が、この年収の部分で不許可になったり、永住申請をあきらめます。明確な基準があるわけではないですが、年収の額が
300万円以上に達していないと審査が厳しくなります。
また、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)からの申請であれば、過去5年分の年収額が審査されます。つまり、過去5年間安定した収入があるのかどうかが審査され、1年でも年収が低い年度があった場合は、大きなマイナスポイントになります。
さらに配偶者や子どもを扶養しているのであれば、さらなる年収が必要になります。扶養人数1人あたり年収50〜70万円をプラスして考えた方がよろしいでしょう。
注意点ですが、配偶者が家族滞在ビザでアルバイトをしていても、その年収分を申請人の年収額に加えることはできません。
※配偶者ビザからの申請では、独立生計要件は審査の該当から外れていますが、過去3年の年収額が審査されています。この場合、世帯収入として
年収350万円以上はほしいところです。配偶者も働いていて二人併せて年収が350万円以上であれば問題ありませんが、当然、配偶者の年収を立証する3年分の資料が求められます。また、当然ですが、扶養している子どもがいるのであれば、その分はプラスして考えなければなりません。
◆年収が足りていなくても・・・年収が足りていないことを理由に「永住が許可されない」と一概には言えません。もし、日本国においてスポーツや文化面で表彰されていたり、人助けをして感謝状をもらったことがあるなど、「我が国への貢献に係る資料」を提出できる場合は、年収が多少低くても許可される可能性もあります。
3. 国益要件法務大臣が日本国の利益に合すると認めたこと
次の①~⑤のすべてに該当する者であることが要件となります。① 長期間にわたり日本国社会の構成員として居住していると認められること② 納税義務等、公的義務をしっかりと果たしていること③ 現に有している在留資格について、入管法施行規則別表2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること④ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこ⑤ 著しく公益を害する行為をするおそれがないと認められることそれでは1つ1つ見ていきましょう。
①長期間にわたり日本国社会の構成員として居住していると認められること つまり、日本に
引き続き10年以上在留していることが必要で、さらにこの期間のうち
就労資格又は居住資格をもって
引き続き5年以上日本に在留していることが必要です。
「引き続き」とあるので、年の半分以上の期間を、海外で生活しているような場合は、生活の本拠が日本にないとされ、合理的な理由がない限り、永住許可されない可能性があります。
「就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上日本に在留」とは?「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で3年間会社に勤務した後、自己都合で退職した上で日本語学校に1年間通い、その後、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で2年間会社に勤務していも「技術・人文知識・国際業務」の在留資格該当性がある状態での直近5年ではないので、要件を満たしません。
つまり、在留資格該当性がある状態での直近の5年以上の在留を意味します
②納税義務等、公的義務をしっかりと果たしていること住民税・国民年金・公的医療保険などの納付状況、源泉所得税および復興特別所得税、消費税、消費税、相続税、贈与税などの納付状況が審査されます。
滞納することなく、遅れて納めることなく、適正な時期に適正な額をしっかりと納めることが必要です。基本的に未納・延納・減免は永住申請をする上でアウトです。▼詳しくはこちらのページをご覧ください。
永住申請と税金・年金・保険についてズバッと解説③現に有している在留資格が最長の在留期間であること 当面の間は、
在留期間「3年」を有する場合は、「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取扱われます。
④公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律で規定する一類感染症、二類感染症、指定感染症、新感染症の罹患者または麻薬、大麻、あへん及び覚せい剤等の慢性中毒者等は、公衆衛生上の観点から有害となるおそれがあるものとして取扱われます。
⑤著しく公益を害する行為をするおそれがないと認められること次の(ア)~(ウ)に該当する者は、「著しく公益を害するおそれのある者」として審査のマイナスポイントになります。
(ア) 日本国の法令に違反して懲役・禁錮もしくは罰金に処せられたことがある者
(イ) 少年法による保護処分が継続中である者
(ウ) 日常生活又は社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返している者
<ポイント!>前科前歴は素行要件のみならず、国益要件においても審査されます。
前科前歴の事実は抹消できません。事実として存在する以上は、申請する際、正直に申告し、深い反省を述べ、二度と法律違反はしない旨を具体的根拠をもって誓約する書面を提出することが大切です。