定住者の離婚定住とは Long Term Resident for Divorce
「日本人の配偶者」「永住者の配偶者」「定住者の配偶者」など配偶者の身分として日本で生活している方が、日本在留中に離婚した場合、在留資格はどうなってしまうのでしょうか・・・?
例えば、「日本人の配偶者等」の在留資格を有して日本で暮らしている方が、日本人と離婚してしまった場合、「日本人の配偶者」としての身分は失われます。
離婚した後、母国に帰るのであれば特に問題ありませんが、生活の基盤が日本にある場合、引き続き日本に在留することを希望する方もいるはずです。
しかし、離婚した場合、配偶者という身分は失われるわけですから、在留期間が満了すれば日本を去らなければなりません。
では、どうしたらよいでしょうか???
いろいろな方法がありますが・・・
先ずは定住者ビザの1つである「離婚定住ビザ」が取れるのかどうかを検討してみてはどうでしょうか?
Long Term Resident for Divorce
<在留資格「定住者」>
「離婚ビザ」の説明をする前に、まず在留資格「定住者」について簡単に説明します。
入管法では、在留資格「定住者」を「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」と定めています。つまり、他のいずれの在留資格に当てはまらないものの、相当期間、日本での在留を認めるに足りる特別な事情のある方々のために与えられる在留資格です。
そして、「定住者」にはいくつかの種類があり、その中の1つに「離婚定住ビザ」があります。
<離婚定住ビザの要件>
離婚ビザを取るためには、次の①〜④すべての要件を満たす必要があります。
①正常な婚姻関係・家庭生活が3年以上継続していたこと
②生計を営むのに十分な資産または技能を有すること
③日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難でないこと
④納税など公的義務を履行していること又は履行が見込まれること
それでは、一つ一つ簡単ではありますが解説します。
①正常な婚姻関係・家庭生活が3年以上継続していたこと
「正常な婚姻関係・家庭生活」は、通常の夫婦としての家庭生活を営んでいたことをいいます。したがって、別居していた期間があっても、夫婦としての相互扶助、交流が継続して認められればOKです。
どんな理由があろうと正常な婚姻関係・家庭生活は3年以上継続していなければ離婚定住へ在留資格を変更することは難しいです。ちょっと特別な事情があって1年で離婚を考え配偶者ビザから離婚定住ビザへ変更をしたいと入国管理局に相談したことがありますが「無理です」と断られたことがあります。
なお、配偶者ビザの在留期間はあまり関係ありません。婚姻期間が長ければ在留期間が1年であろうと許可されたケースはあります。
②生計を営むのに十分な資産または技能を有すること
公共の負担にならずに自立して日本で生活できる資産があること。または、技能や資格を有して安定した仕事に就いていることが必要です。
③日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難でないこと
日本語能力は、特定の日本語の試験に合格している必要はありません。
④納税など公的義務を履行していること又は履行が見込まれること
申請人の住民税の課税・納税証明書で証明します。もし、就職して間がないのであれば、給与明細書を提出します。
<注意点>
1. 離婚の届出
日本人と離婚した場合、14日以内に入国管理局へ行き、離婚した旨の届出「配偶者に関する届出」をしなければなりません。この届出が遅れると届出の義務違反となり、ビザ変更で不利となります。
2. 在留資格の取消しに注意
入管法22条の4第1項7号には以下のことが定められています。
「日本人の配偶者等の在留資格をもって在留する者が、その配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6ヵ月以上行わないで在留していることが判明したときは、法務大臣は在留資格を取り消すことができる」
一方で入管法22条の5では「在留資格の取消し事由が判明しても直ちに取消しをするのではなく、在留資格変更申請または永住許可申請の機会を与えるよう配慮しなければならない」と定められています。
しかしながら、日本人配偶者と離婚した場合、日本での在留を引き続き希望するならば、早めに離婚定住ビザへの在留資格変更手続を行うことが好ましいです。
3. 離婚の理由
離婚となってしまった理由や事情も重視されます。申請理由書において結婚から離婚に至る経緯を詳しく説明するよう心がけてください。
なお、入国管理局が元配偶者から「離婚の理由や事情」等を聴くこともあります。
離婚定住ビザ以外の方法
「離婚定住ビザ」への在留資格変更が認められるには、離婚後も経済的に非常に安定しているなどの特別な事情があること、または、長期の婚姻期間がなければなりません。簡単には「離婚ビザ」は認められません。
そこで、もし「離婚ビザ」が認められなかった場合、就労系の在留資格や結婚という身分関係の成立に基づく在留資格への変更許可申請を検討することになります。
ただし、当然のことながら、在留資格を取得するための手段として、婚姻するなどは絶対にしてはいけません。
就労系の在留資格では、大学を卒業していれば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格変更を検討できます。
また、500万円以上の出資金の入手経路についてしっかりと証明でき、安定性・継続性のある事業を経営する考えがあるのであれば「経営管理ビザ」への在留資格変更も検討することができます。