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上陸の拒否

上陸の拒否事由


外国人なら誰でもウェルカムではありません。
日本にとって好ましくない外国人を上陸させるわけにはいきません。入管法5条1項の各号に該当する外国人は、日本に入国することはできません。

以下の5つに該当すると日本への入国が拒否されます。
①保健・衛生上の観点から問題がある者
②反社会性が強いと認められる者
③日本から退去強制を受けたこと等がある者
④日本国の利益や公安を害する恐れがある者
⑤相互主義に基づき上陸を認めない者 

このページでは、入管法5条で定められている入国拒否事由について簡単に解説します。

入管法5条(上陸の拒否)

次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。
(一) 感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律に定める一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症もしくは指定感染症の患者または新感染症の所見がある者

(二) 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又はその能力が著しく不十分な者で、本邦におけるその活動又は行動を補助する者として法務省令で定めるものが随伴しないもの

(三) 貧困者、放浪者等で生活上国または地方公共団体の負担となるおそれのある者
公共の負担になるおそれのある外国人の入国を拒否することができます。
貧困者、放浪者のほか、重症患者で治療費の支払能力を有しない外国人等が該当します。
身元保証人が申請人の滞在中の一切の経費を支弁しようとする場合は、身元保証人の収入や資産状況が審査されます。また、身元保証人と申請人が、身元保証人が保証することとしている内容を遵守する合理的な理由が認められる必要があります。

(四) 日本国又は日本国内以外の国の法令に違反して、1年以上の懲役もしくは禁錮またはこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯により刑に処せられた者は、この限りでない。
「刑に処せられた」とは、歴史的事実として刑に処せられたことを意味しています。執行猶予期間中であるか、執行猶予期間を無事経過した者か、刑の言渡しの効力が消滅したかは問いません。人生において1度でも日本や外国で捕まり、1年以上の懲役・禁錮を受けたことがある者は上陸拒否事由に該当します。そして、上陸拒否の特例の適用又は上陸特別許可を受けない限り、無期限で日本に上陸することができません。

(五) 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある者 
「刑に処せられたことのある者」とあるように、こちらも歴史的事実として刑に処せられたことを意味しています。よって、人生において1度でも薬物関係の法律に違反して刑に処せられた者は、刑の執行を受けたか否か、刑の執行を終えたか否かは問いません。そして、上陸拒否の特例の適用又は上陸特別許可を受けない限り、無期限で日本に上陸することができません。

(六) 麻薬及び向精神薬取締法に定める麻薬もしくは向精神薬、大麻取締法に定める大麻、あへん法に定めるケシ、アヘンもしくはケシガラ、覚醒剤取締法に定める覚醒剤もしくは覚醒剤原料またはアヘン煙を吸引する器具を不法に所持する者

(七) 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事したことのある者
こちらの場合は、刑に処せられた否か関係なく、売春業務に直接携わったことがある者は入国拒否事由に該当します。
ただし、人身取引等により他人の支配下に置かれていた者が売春業務に従事していた場合は対象外になります。

(七の二) 人身取引等を行い、そそのかし、又はこれを助けた者

(八) 鉄砲刀剣類所持等取締法に定める鉄砲もしくは刀剣類または火薬類取締法に定める火薬類を不法に所持する者

(九) 次のイから二までに掲げる者で、それぞれ当該イからニまでに定める期間を経過していない者 
イ 第6号または第8号の規定に該当して上陸を拒否された者は、拒否された日から1年間は日本に上陸することができない。
麻薬・大麻・覚醒剤等を不法に所持する者や銃砲刀剣類・火薬等を不法に所持する者として退去命令を受けた場合は、1年間は日本に上陸することができません。
ロ 入管法24条(退去強制事由)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者は、退去強制された日から5年間は日本に上陸することはできない。
例えば、オーバーステイによって退去強制された者は、退去強制された日から5年間は日本に上陸することはできません。
ハ 過去に何度か入管法24条(退去強制事由)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者は、退去強制された日から10年間は日本に上陸することはできない。
例えば、過去にオーバーステイ歴があるにもかかわらず、またオーバーステイをして退去強制された者(リピーター)は、退去強制された日から10年間は日本に上陸することはできません。
ニ出国命令により出国した者は、出国した日から1年間は日本に上陸できません。

(九の二) 別表第一の上欄の在留資格(活動系在留資格)をもって本邦に在留している間に刑法第2編12章(住居を犯す罪)、16章(通貨偽造の罪)、17章(文書偽造の罪)、18章(有価証券偽造の罪)、19章(印章偽造の罪)、23章(賭博及び富くじに関する罪)、26章(殺人の罪)、27章(傷害の罪)、31章(逮捕及び監禁の罪)、33章(略取,誘拐及び人身売買の罪)、36章(窃盗及び強盗の罪)、37章(詐欺及び恐喝の罪)もしくは39条(盗品等に関する罪)、暴力行為等処罰に関する法律の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第15条もしくは16条の罪、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条もしくは第6条1項の罪により懲役又は禁錮に処する判決の宣告を受けた者で、その後出国して本邦外にある間にその判決が確定した場合、確定の日から5年間は日本に上陸することはできない。

(十)入管法24条4号オからヨまでのいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者

(十一)日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、もしくは主張し、又はこれを企てもしくは主張する政党その他の団体を結成し、もしくはこれに加入している者

入管法5条の2(上陸の拒否の特例)

法務大臣は、外国人について、前条1項第4号、第5号、第7号、第9号または第9号の2に該当する特定の事由がある場合であっても、当該外国人に第26条1項の規定により再入国の許可を与えた場合その他の法務省令で定める場合において、相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該事由のみによっては上陸を拒否しないこととすることができる。

上陸拒否事由に該当すれば日本に上陸することはできません。しかし、いかなる場合でもそれをまともに適用してしまうと、人道上不合理な結果となってしまう恐れがあります。
そこで上陸特別許可という制度を設け、上陸拒否事由に該当する外国人であっても特別に上陸を許可される場合があります。
しかしながら、上陸特別許可で日本で在留することが決定したとしても、その外国人がその後、日本に再入国するたびに上陸特別許可(入国審査官→特別審理官→法務大臣と三段階の手続き)をしなければならず、とても合理的とはいえないものでした。
そこで、平成21年、入管法5条の2が設けられ、上陸拒否事由に該当する外国人であっても入国を許容する実質的判断が法務大臣により既になされているときは、入国審査官→特別審理官→法務大臣と三段階の手続きをとる上陸特別許可を行わずに、入国審査官の判断で上陸許可ができるよう手続きが簡素化されました。

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