適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保特定技能所属機関(受入会社)は、単に外国人を雇えばよいのではなく、「法律を守っている会社か」「適正な労働条件を確保できるか」「外国人を支援できる体制があるか」「過去に重大な法令違反がないか」など、出入国在留管理庁が定めた基準を満たす必要があります。
1. 労働、社会保険および租税に関すること
特定技能所属機関は、労働関係法令、社会保険関係法令および租税関係法令を遵守していなければなりません。
これらの法令を適切に守っていることは、特定技能外国人を受け入れるための重要な要件となります。
🍃労働関係法令を遵守しているとは? 以下の内容を満たしている必要があります。
- 労働基準法等の基準に則って特定技能雇用契約が締結されていること
- 雇用保険及び労災保険の適用事業所である場合は、適用手続および保険料の納付を適切に行っていること
疎明資料として「労働保険料等納付証明書(未納なし証明)」を提出します。
🍃社会保険関係法令を遵守しているとは?【健康保険及び厚生年金保険の適用事業所の場合】
- 受入機関が「健康保険および厚生年金保険の加入手続」、「雇用する従業員の被保険者資格取得手続」を適切に行い、所定の保険料を適切に納付していること
- 疎明資料として「健康保険・厚生年金保険料領収書の写し(在留諸申請の日の属する月の前々月までの24ヵ月分)」または「社会保険料納入状況回答票」
【健康保険及び厚生年金保険の適用事業所でない場合】
- 事業主本人が、国民健康保険及び国民年金に加入し、所定の保険料を適切に納付していること
※もし、社会保険料が未納となっている場合は、必ず未納分を納付してください。
🍃租税関係法令を遵守しているとは?【 法人の場合 】源泉所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税、法人住民税を適切に納付していること
【 個人事業主の場合 】源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税、個人住民税を適切に納付していること
2. 非自発的離職者の発生に関するもの
1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する国内労働者を非自発的に離職させていないこと
特定技能雇用契約を締結した後も非自発的離職者を発生させていないことも求められます。
「非自発的に離職させた」とは以下のようなことをいいます。
♦希望退職・退職推奨人員整理を目的として希望退職を募ったり、退職を勧めた場合
※ただし、天候不順・自然災害・感染症など、経営努力を尽くしても雇用維持が困難な場合は除く
♦労働条件の重大な問題労働者が「賃金の低下・遅配、過度な残業、採用条件との不一致など重大な問題がある」と判断して離職した場合
♦就業環境の重大な問題故意の排斥、嫌がらせなど、職場環境に深刻な問題があった場合
♦特定技能外国人の責めに帰さない契約終了特定技能外国人に落ち度がないのに、有期労働契約が更新されず終了した場合
※非自発的離職者を発生させた場合は、「受入れ困難に関わる届出」を行う必要があります。
3. 行方不明者の発生に関すること
1年以内に企業側の責めに帰すべき事由により外国人の行方不明者を発生させていないこと
※外国人には、特定技能外国人のみならず実習実施者として受入た技能実習生も含まれます。
※基準に適合しないことを免れるために、別会社を作った場合は、実質的に同一の機関であると判断して、当該別会社も行方不明者を発生させた機関として、取り扱うことがあります。
4. 欠格事由
<関係法律による刑罰を受けたことによる欠格事由>次のいずれかに該当する場合には、受入れ機関になることはできません。・禁錮以上の刑に処せられた者
・出入国又は労働に関する法律に違反し、罰金刑に処せられた者
・暴力団関係法令、刑法等に違反し、罰金刑に処せられた者
・社会保険各法および労働保険各法において事業主としての義務に違反し、罰金刑に処せられた者
※いずれも「刑に処せられ、その執行が終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者」が対象者となります。
<実習認定の取消しを受けたことによる欠格事由>実習実施者として技能実習生を受け入れていた際に実習認定の取消しを受けた場合、取消しの日から5年を経過しない者や、法人であった場合にその法人の役員であった者は、受入れ機関になることはできません。
5.出入国又は労働関係法令に関する不正行為を行ったことによる欠格事由
特定技能所属機関は、雇用契約締結の日の前5年以内またはその締結後に、出入国・労働関係法令に関する不正行為を行っている場合、欠格事由に該当し特定技能外国人を雇用することができません。
不正行為には、外国人への暴行・脅迫・監禁、パスポートや在留カードの取り上げ、賃金不払、外出や通信の不当な制限、人権侵害、偽変造文書の使用・提供、保証金徴収や違約金契約、届出義務違反、調査妨害、改善命令違反、不法就労助長、労働法令違反、技能実習制度での不正、他機関での不正関与、支援計画における虚偽対応などが含まれます。これらの行為が確認されると、特定技能外国人の適正な受入れができないと判断され、特定技能所属機関として認められません。
6. 特定技能外国人の活動状況に係る文書の作成等に関すること
特定技能所属機関は、特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上、事業所に備えて置く義務があります。
🍃活動内容に関わる文書とは?「氏名」「国籍」「在留期間の満了日」「在留カード番号」「外国人雇用状況届出の届出日」などを記載した特定技能外国人の名簿
「就業場所」「業務内容」「雇用状況」「労働保険・社会保険の加入」「安全衛生」「休暇取得」「行政指導の有無」を記録した特定技能外国人の活動状況に関する帳簿
さらに、雇用契約書と雇用条件書、賃金台帳、出勤簿などの書類も保存対象です。
また、報酬を口座振込で支払う場合は、振込明細を帳簿に添付します。
これらの書類は書面だけでなく電磁的記録での保存も認められており、必要時に即時出力できる状態で管理することが求められます。
7. 保証金の徴収・違約金契約等による欠格事由
外国人等が保証金の徴収などをされていることを特定技能所属機関が認識して雇用契約を締結していないこと受入れ機関は、特定技能外国人やその親族等が、保証金の徴収や財産の管理をされている場合、又は違約金契約を締結させられている場合には、そのことを認識して雇用契約を締結してはいけません。
8. 支援に要する費用の負担に関するもの
支援に要する費用を、直接または間接的に外国人に負担させないこと1号特定技能外国人に対する支援に要する費用は、受入れ機関が負担すべきものであり、1号特定技能外国人に直接的又は間接的に負担させてはいけません。
🍃支援に要する費用とは?登録支援機関への委託費用、出入国時の送迎費用、事前ガイダンス・生活オリエンテーション・相談苦情対応及び定期的な面談の実施に係る通訳人の通訳費等が該当します。
【 居住費用を徴収する場合 】住宅の賃貸料などの実費を本人に負担させることまでは禁止していません。
ただ、居住費を徴収する場合、その額は適正な額でなければなりません。
支給額に対して居住費の割合が高いと判断した場合、その物件周辺の賃貸アパートの相場がわかる資料等の提出を求められる可能性があります。
9. 労災保険法に係る措置等に関するもの
特定技能所属機関は、特定技能外国人に労災保険を確実に適用する義務があります。
労働者を1人でも雇う事業場は法律上当然に労災保険の適用対象となるため、事業主は保険関係成立届を適切に提出し、必要な手続きを行わなければなりません。
これは外国人労働者の安全を守るための基本的な要件です。
10. 特定技能雇用契約継続履行体制に関するもの
特定技能雇用契約を継続して履行する体制として、事業を安定的に継続し、外国人と締結した特定技能雇用契約を確実に履行できる財政的基盤を有していることが必要です。
特定技能所属機関は、財政的に安定していることを示すため、確認書類として「特定技能所属機関概要書」を提出します。
財政基盤の判断は、事業年度末の欠損金の有無や債務超過の状況などを総合的に確認して行われます。
もし、直近期末で債務超過がある場合は、中小企業診断士や公認会計士などの専門家による改善見直しの評価書(「企業評価書」など)の提出が必要となります。
11. 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
外国人に対する報酬の支払を確実かつ適正なものとするため、当該外国人に対する報酬の支払は、基本、預貯金口座への振込とします。
預貯金口座への振込以外の支払方法にする場合は、事後に出入国在留管理庁長官に対し、その支払の事実を裏付ける客観的な資料(報酬支払証明書)を提出し、出入国在留管理庁長官の確認を受けることが求められます。
※特定技能外国人の活動状況に関する届出の際に提出
12.地域における共生社会の実現のため寄与する債務に関すること
特定技能所属機関は、特定技能外国人が地域社会に円滑に参加できるよう、地方公共団体から共生施策への協力を求められた場合には、必要な協力を行う義務があります。
共生施策には、行政サービスの案内、交通・ゴミ出しルール、医療・防災、地域イベント、日本語教室など、外国人の生活支援に関わる取り組みが含まれます。
また、特定技能外国人を受け入れる際には、市区町村へ「協力確認書」を提出する必要があります。
提出のタイミングは、以下のとおりです。
【初めて受け入れる場合】雇用契約締結後、在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更申請の前
【既に受け入れている場合】在留資格変更申請または在留期間更新申請の前
13. 分野に特有の基準に適合すること